旧友
ふとした時に思い出す旧友がいる。
寡黙でストイックで真面目、運動神経も抜群(特に長距離走は超人的だった)、空気も読める、でも優等生の型に収まるのを嫌って、わざとヤンチャして不良のふりをしているように、私には見えた。
中身もないのに格好をつけて護身にまわる私とは対極の存在で、疎ましく思うこともあった。
ちょっとした野暮なことで彼をライバル視することもあったが、たぶん彼はどんなときも私を敵視することはなかっただろうと思う。
そして、本音の部分では私は彼のことを尊敬していた。
だから今でも、気持ちが沈んでしまったとき、彼の振る舞いを思い出す。
…そんな彼が既に他界していたことを知った。
知ったときはあまり実感がなかった。
今日になって、そうとう動揺している。
私は彼にどれだけの「ありがとう」を言わなければならなかったのに、
その機会を永遠に失ってしまった。
空の上の彼は、そんなのは取るに足らないことだと、
あの日々と変わらず、笑って許してくれているのだろうか…
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